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画家修業の手始めに、まずは「美術そして芸術とは何か?」を知りたい、「美術の歴史という樹木の、太い幹に当たる部分を受け継ぎ、次の時代に繋げる仕事をしたい」と思い、高階 秀爾著『西洋美術史』とフロイトの『精神分析入門』から探求を始めました。
そうやって卒業までの5年間に読んだ様々な分野の専門書はダンボール20箱以上なりました。
高階 秀爾『西洋美術史』によって、すぐに抽象画の創始者ワシリーカンディンスキーとパウル・クレーを知ります。
カンディンスキーの『分割と統合』という作品を観た時には衝撃を受けました。(左上写真)
「この作品は世に存在しないものを描いている』と感じました。
この作品を画集で観た時、観ると同時にクラフトワークの電卓という曲が頭の中で鳴り響き、そのテンポに合わせて画面が時計のように小刻みに右に移動していく映像が鮮明に脳裏に写し出されました。
恐らく、私もカンディンスキーも強い共感覚の持ち主なのでしょう。
絵画を観てれば音楽が鳴り響き、音楽を聴けば映像が脳裏に写し出される。
この出来事の後2年ほどして不思議な夢を見ます。
その夢を描いたのがこちらの作品『オアンネスが苛立って放り投げたミュージックブック』です。注3
この体験は、画家を志す前のカンディンスキーが、モネの積藁の絵を展覧会で観てから、夢の中に積藁の絵がありありと出てくる体験を何度もしたこと酷似しています。
カンディンスキーが当初、この夢が何を示唆しているか理解できなかったように、私もこの体験が何を意味するかが長く分かりませんでした。
しかし、やがてカンディンスキー同様私も『絵画が音楽的と同様のより人を感動させる効果を持つ事を追求する運命』を持って生まれてきたことを悟ったのです。