参議院選挙の低投票率と安倍晋三狙撃報道で感じた日本人のアパシー(無気力)とアノミー(道徳規範喪失)

2022年、7月10日の『サンデーモーニング』で姜尚中さんが

「投票率はここ数年50%。だから自民党の得票率は20%に満たない。20%の支持で政策が決まってしまう。これは大変な問題です。
 日本人は無関心という病に罹っている。だから投票に行かない人は病気なのです。直すのは投票行動です。」

と発言しましたが、これは正論だと感じましたが、それだけでなく先の調査で恋愛や結婚を望まない若者が増えているなどの報道や参議院選の選挙結果をみて、日本人で特に若者がアパシー(無気力)に全体としてアノミー(価値規範。道徳規範の喪失と犯罪行為の横行)に罹っていると確信しました。

 社会学の用語であるアパシー=無気力と社会学者デュルケームが『自殺論』で唱えたアノミー=道徳規範の喪失と崩壊。

 このうちアノミーはコトバンクによると

  1. 社会的規範が失われ、社会が乱れて無統制になった状態。 ある社会の解体期に発生する。
  2. 高度に技術化・都市化した社会で、親密感が欠けることによって起こる疎外感。

とあります。疎外感とは独りぼっちの孤独な淋しい状態をさします。

「『自殺論』においては、経済の危機や急成長などで人々の欲望が無制限に高まるとき、欲求と価値の攪乱状態が起こり、そこに起こる葛藤をアノミーとしている。」(ウィキペディア)

これは高度消費社会になり、貧富の格差も驚くほど開いたためもあって、個人が欲望を無制限に刺激されることで、規範順守のモラルを捨て去って、不法行為も平気で行うようなった今の状態をよく説明していますね。

土地バブル崩壊の宮澤内閣の時にユング心理学のカウンセラーである河井隼雄京都大学教授がこう言っていましたが、これもまたアノミーを指摘していますよね。

「気になるのは、今の日本人が非常にこらえ性がなくなっていることです。そこで、法で裁く側の司法・警察も犯罪を行っていて、さらにどこもかしこも犯罪を犯しているので、法で裁ける人間がいないことです」

これは、まさに今の日本社会の状況ではないでしょうか?

自民党の安倍や麻生太郎のような政治家や経産省・財務省の役人、大企業の社長とかの態度・振る舞いを見ていると明らかに、ザッガーバーグやビルゲイツなどのIT系で大富豪となった起業家を羨ましがっているのだなと感じます。

バブル期でも大企業の社長の給料は3,000万円ほど。IT系大富豪の資産は桁違いですから。

マスコミの報道と投票行動にみる見事なまでの法治主義の否定

今回の安倍晋三狙撃事件で、サンデージャポンで太田光が

「安倍さんの政治信条は法治主義なのです。」

と何度も言っていましたが、森友問題での文章改ざんや、桜を見る会での情報の開示拒否。

戦前の特高警察の役人が発足当時から多数いて、小泉内閣の時に闇金造りがバレて後藤田正晴に泣きついて、70人以上といわれた検事の非逮捕と引き換えに何でも小泉純一郎と福田康夫官房長官の属する清和会のいうことを聞くという約束をしてその後『けもの道』を歩んできた検索。

さらに、総理大臣が任命する最高裁判事には加計学園の弁護士を安倍晋三は指名しました。

さらに、7月8日に民事勝訴が確定した山口敬之の強姦罪での非逮捕も、安倍晋三の側近の杉田和博や北村滋内閣情報室長、中村格刑事部長らが行ったことです。

 安倍晋三こそ法治主義を拒否してロシアや中国のような専制独裁を行った政治家ですが、「野党は国会で批判ばかり」という、恐らくはマスコミの情報操作であるフレーズにみるように、やはりほとんどの国民は、罪を犯しても罰っせられなくてい良いと考えていると思わざるえません。

 検察と裁判所が安倍晋三の数々の犯罪を立件し逮捕収監しないから、彼に恨みと怒りをもつ誰かが天に変わって処罰せざるえなかったわけですが、マスコミはこの、やはり英雄と考えざるえない山上徹也君を「絶対許せない犯罪人」と報道しています。

 これはアメリカと、それに操られている自公に取り入り、利用して、自分だけはよりたくさんの金や名誉職がほしいという、利己主義からでしょう。

 そのために嘘・虚偽報道、不法行為などの非道徳的行いをしても何も感じないのです。

 太田光らにこのような嘘八百を言わせる民法の社長やプロデューサーに見事なまでに欠けているのが『恥』というものへの鈍感さです。

 彼らも含めて大多数の国民が

 犯罪に巻き込まれたら、巻き込まれた人間は運が悪かっただけ。

 自分が巻き込まれたら、それはその時考える。

という意識なのでしょう。

 ◆これは社会が鎌倉殿の時代まで退化したことを意味しています。

 若者の低投票率や恋愛・結婚への意欲低下をみても、今の若い世代にはイーロンマスクが「数十年後少子高齢化で日本は無くなる」と発言しても「それならば、自分達の未来は自分達が変えよう」と意識し行動する人が本当に少ない。

 まさにアパシー=無気力です。TV局や新聞社などの社員の無気力も凄まじい。

 安倍晋三は国会で「原発の津波での電源喪失などあり得ない!」とヘラヘラ笑ったわけですが、それも含めた安倍晋三の犯罪や、それを罰しない彼のお抱え官製法律暴力団たる検察や司法のふざけた状況を、彼らは報道しないだけでなく、紙面や放送で示唆したり、匂わせることすらしない。

アノミーは社会の解体期の現象である

 注意すべきはデュルケームがアノミーはある社会の解体期に発生するといっていることです。

 つまり、今の日本は恐らくアメリカが夢見たように国の崩壊・解体が進行しているとみていよいでしょう。

 こう考えるとあらゆる今の社会現象が見事に理解できますよね。

 それと、アメリカのトランプ支持や銃乱射もアノミーではないでしょうか?

 元NHKキャスターの畑恵さんもそう主張しています。

 そして、トランプ支持の下層の白人たちは、潜在的に鬱状態=アパシーなのではないでしょうか?

 彼らの薬物依存や拳銃自殺も凄く多いと朝日新聞などでも報道されていましたが、この苦しい変化の激しい社会の中で浮上できるかもしれないという希望と連帯感が感じられるから、自分の居場所をトランプ支持集団に見つけている訳で、それが無ければ鬱々とした気分かまたはぶつけるところのない怒りを抱えているのではないでしょうか?

 では、デュルケームやその継承者のマートンがその原因と処方箋をどうみているのか?

 原因についてデュルケームらは以上のようなことを挙げています。

  1. 職業に求められる技術革新などの変化が激しいこと
  2. 核家族化で孤独な人間が多くなっている
  3. 技術革新で貧富の差が激しくなり、貧困層が増え欲望が無制限に刺激される

 今のような状況で、選挙に行くなどの行動や自助努力では、IT系起業家として成功することはおろか、今よりは満足できる収入を自助努力でで得ることは無理であろうと、多くの人がアパシー=無気力になっており、気の強い負けん気の強い性格の人間は逆にそれならば汚い手段を使おうと考えるのでしょう。

 これは1980年代の全国の高校の学級崩壊、不良学生の跋扈と同じ構図です。

 自信のないものは塞ぎ込み、気の強いものは不良化して暴れる。
 
 デュルケームはアノミーを『自殺論』という著書で説明しましたが、日本の特に若年層と経営者の自殺の多さは凄いですよね。
 デュルケームは様々な種類の自殺とともに『アノミー的自殺』を提唱しました。

 アノミー的自殺についてはこちらをご覧下さい。

 そして日本の若年層の幸福度の感覚が著しく低い。

 処方箋については、まだ詳しくは調べていないので今回は言及しないでおきます。

 最後に、デュルケームの継承者のマートンのアノミー論を説明しておきます。

 社会学者マートンは「規範意識の崩壊や、欲望の亢進による不法行為は文化目標、今でいえば多額の金銭獲得などと、その達成手段の無力さから生まれる」と説明してます。

 典型的なのは、TV放送でのCM収入の激減を東京オリンピックやコロナ給付金などで中抜きをすることで補った電通などの広告代理店や、酒税法の統一を先延ばしにしてほしくて、桜を見る会で酒を無料で提供し安倍内閣のメンバーや財務省の官僚をパーティーで接待したサントリーの新浪剛史や佐治敬三らの例が挙げられますね。

 しかし、彼らの精神もその内側に無力感や鬱々とした気分があるのではないでしょうか?
 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事