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私にはもう絵しか残っていないから、実現せねばならぬ』 ポール・セザンヌ【Anecdotes in my life No1】

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サントヴィクトアール山 写真
 後期印象派の画家、ポール・セザンヌは、若い頃から画家をめざすも画壇からは無視され、ようやく50代の後半に、後にピカソをも見出した画商アンブロワーズ・ヴォラールがピサロの助言で企画展を開いたことなどから、急激に世界的な名声を得ていきます。

彼のこの謎めいた言葉は

「私の古里南仏、エクス=アン=プロヴァンスのサントヴィクトアール山を望む壮麗に美しい風景。
その風の音、風に揺れる木々、青く澄み切って高く突き抜けるような空、深い緑と対となった赤土の山肌を、詩情豊かに彫刻や大建築物のように雄大に、音楽のように躍動的に描き切りたい。
そのような詩情あふれる作品を実現(リアザラシオン)したい。」

と言う意味でしょう。

 それはまさにセレナーデです

このセザンヌの言葉には目的語がありません。大学時代にこの言葉を知った私は、セザンヌが何を実現したいのかまったく意味が分からず、小林秀雄の『セザンヌ』にその解説が書いてあったので読んだのですが、これがまた難解極まりなく、何度も熟読し、思索を廻らし、ようやくセザンヌの作品の魅力とともに理解できたのです。

エクス=アン=プロヴァンスの風景は、プロバンス駅を降りたつそこはまさにセザンヌの風景画の世界で、言葉を呑むほど美しいと『セザンヌと過ごした時間』を制作したダニエル・トンプソン監督は言います。
映画『セザンヌと過ごした時間』

 大学2年生の私の心情はまさにこの言葉と同じで、今私はセザンヌが名声を得たとほぼ同じ年齢となりました。

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