音楽の絵画への翻訳理論 適用作品 火の鳥 フェニックス

 『音楽の絵画への翻訳理論』はポアンカレの位相幾何学のようにに芸術史上の一大イノベーションだ!

アメリカに戦後アートの主流が移ってから、現在の現代美術家や画商・キュレーター、コレクターなどの美術関係者には、抽象絵画が生まれて来た目的が未だに正確に理解されていません。

抽象画が生まれて来た理由は『絵画に音楽が持つ鑑賞者を深く感動させる力を付与する』ためです。
ポアンカレと絵画の音楽化理論の図

W・カンディンスキーがこの意図で抽象画を創出しました。 カンディンスキーが世界最初の抽象画を描いたのが1910年です。(下図1 参照

彼はそれをモネの絵画とにワグナーの音楽に触発されて創り出したのです。(注2)

カンディンスキーはドイツのバウハウスの同僚で、優れたバイオリニストであり音楽一家出身のパウル・クレーとともに音楽的な表現効果を目的とした抽象画を推進しました。(注3)
しかし、ニューヨークに渡って教鞭をとったのはカンディンスキーではなく同僚の構成主義作家アルバースでした。
パウルクレーの絵とアルバースのある画像、世界最初の水彩画
アルバースはクレー・カンディンスキーというドイツ画壇の世界的なスターと比較すればバウハウスでは傍系です。
彼は二人の業績を正確に理解していなかったようで、『音楽的な絵画の実現』という抽象画研究の本質を若いアーティスト達に伝える事ができませんでした。

そのため、抽象絵画の本流はアメリカの誰にも継承されなかったのです。(注1)

このため現代のアート界は一部を除き、次の2つの固定観念の中に未だに閉じこもっている状態にあります。

①絵画や彫刻は1点静止していて動かないものであり、鑑賞者はその作品に対峙しじっくり鑑賞するものである。

 ②ゆえに、『画面が部分から構成されており、部分の移り変わりにリズムとメロディがあり、これらの部分から構成される分節が音楽のように、画面上で何度も繰り返されている構造』が持つ表現の高い表現効果に気が付いていない。

ところで、イノベーション(革新)、つまり『新しいアイデアの創出、発明・発見』とは ジェームズ・W・ヤングが言うように「それまで異なる種類のものと思われていたものの新しい組み合わせに過ぎない」というのが定説です。
例を挙げるとスティーブ・ジョブズが携帯電話とパソコンを結語してiphone世に送り出し、アインシュタインは『光と電磁波と空間と速度』を統合して『相対性理論』を発見しました。

また、フランスの大数学者、ポアンカレは「アイデア・発見とはそれまで異なる種類のものと思われていたものに共通する法則を発見し、2つのものを法則のもとに統合させる事である」といいました。
ポアンカレはそれまで無関係と思われていた『幾何学』と『代数学』を合体させ『位相幾何学』を確立しました。
位相幾何学とは図形をある制約条件を保ったまま数式で自由に変形させることが出来る事の発明・発見であり、数学界に後戻り不可能な進歩をもたらしました。
パウルクレーの絵とアルバースのある画像、世界最初の水彩画

私が芸術の分野で達成したのもまったく同じ事です。

私はこれまで『場の芸術』と『時間の芸術』として共通する法則は無く統合する事は不可能と考えられていた2分野に、音と光のスペクトルとの正確な比例関係という共通法則を発見し『音楽絵画 Music Picture』という表現形式を確立したのです。

そして、ポピュラ―ミュージックなどの調性音楽をこの法則で絵画に変換すると、必ずその音楽の主題となる具象的な風景や人物などの画像が表れる事を発見したのです。
さらには、ついに『詞と曲』からなる調性音楽のと絵画という三分野の芸術の相互翻訳を可能としたのです。
この結合はアート作品に、より強力な表現効果をもたらし、『詩と曲の内容が完全に一致する』ことで表現内容をより洗練させ純粋なものにします。

この法則は絵画だけでなくチームラボなどのでデジタル・アート作品や舞台の美術と音楽やアニメーション、映画などに簡単に利用する事が可能なので、今後、これらの分野での表現効果を劇的に進歩させる事ができます。

注釈

(注1)トーマス・ヘス「問題は現代において、描くことがいかにして可能なのかということでした。ピカソ、マティスやミロといった偉大な作家たちは、描くと同時に彼らへと到る扉を閉じてしまいました。
彼らを追いかけて、例えば小さなミロになるということは不可能だったのです。」(現代美術は語る ニューヨーク エミール・ディ・アントニオ ミッス・タッチマン 青土社 p65)

(注2)「ワグナーは音楽によってあの(わがひととき)を色彩豊かに描いていた,という表現を用いる自信は私にはなかった。
しかしながら芸術とは概して私が想像していたより遥かに強大なものであること、他面、絵画も音楽が有すると同様の能力を発展させうるという事実が、私には歴然となったのである。」 ワシリーカンディンスキーの回想 p20 美術出版社

(注3)優れたバイオリン奏者であるパウル・クレーが音楽ではなく美術の道を選択したのは「現代美術において音楽的な表現を追求してみたかったから」というものでした。
クレーは「筋肉や骨などの肉体的な原因もあるが、我々はミケランジェロのような絵はもう描けない。我々は以前よりより抽象的に物事を体験するようになっている。これからの絵画は音楽のようなものになっていくだろう」と述べています。

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