和音はどう描画できる?
代表的な和音=コード、ドレミ、レファラなどは、音とスペクトラムの1対1対応から簡単に以下のように描画できますね?
この和音、コードを巧みに使って絵画制作したのが、国民画家と言われた梅原龍三郎です。
この和音描画プログラムは、前回の投稿に掲載しました。
色彩の和音が実際に使用されている絵画の例
この法則にしたがえば、Cメジャーコードのド・ミ・ソは「赤、黄、緑」となります。
Dm(ディー・マイナーコード)のレ・ファ・ラは「朱色、黄緑、青」となりますね?
この作品を観てみてください。梅原龍三郎の富士山で、発表されたときは大手新聞社(朝日新聞?)に「場外満塁ホームランのような大傑作!」と賞賛されたほど、世間にインパクトを与えた作品です。
富士のふもと、小さな連山の部分は「赤と緑、そしてその上の雲に黄色」となり、また連山の下の平地も黄色ですね?
ほら、これってCメジャーコードでしょう?
●注意してほしいのは、雲が朱色で、さらに『黄色』があることです。この黄色が、この画面をひときわ引き立てていますね。
これが、よりCメジャーコードの調和を引き立てていますよね?
さらに連山と平地の朱色。雲も朱色で、雲の下が黄緑、その下の連山が青。
ほら、見事Dmコードですね。
梅原は色とスペクトラムの関係には薄々気づいていたけど、はっきりと意識はしていなかったのでは?
でも少なくとも『三色の和音』の理論、三色の定石となる組み合わせの高い「感動」をもたらす調和・効果は、法則としてはっきり認識していたでしょう。
この定石が見破れなかったから、他の画家が梅原のような感動を呼ぶ作品を描こうと思っても、どうやっても跳ね返されてしまったわけです。
私もその一人でした。
アンリ・マティス・・・「画面は色の調和を実現すること。音楽ができているのだから、絵画でできない訳がない。」
この色の和音の法則を、色と音がスペクトラムと比例している、という認識はなかったでしょうが、「色彩でも和音は実現できるし、自分はそう制作している」と著書の『ある画家のノート』で書いているのがマティスです!
天性の色彩画家として名高いマティスも、さすがですね?
梅原同様に感づいていたようです!
◆では、この3作品に採用されている和音を解説しますね?
- 赤のハーモニー 正しく赤=Cメジャーコードですね。(笑) 赤と緑を中心としているのは、金色っぽい黄色。この黄色が飛び出すように目立つのは、赤が画面の基調となっていて、その赤を際立たせるために、対比としての補色の緑を使用しているからです。
- 真ん中の『緑のすじのあるマティス夫人の肖像』。この作品は、その緑を鼻筋に使って左右違う色面にしていて、その色使いの大胆さから「まるで野獣のような色彩とタッチだ!」と、野獣派=フォービズムとマティスらが呼ばれるようになった、あまりに有名な作品ですが、これももう分かりますね。Cメジャー。だけど髪が青なので、ここに着目すると、「青、朱色、黄緑の鼻筋」で、まさにDm。
梅原の富士と同じで、CメジャーとDm。2つが1画面で使用されています。
「ともに、発表時にマスコミと業界人を驚嘆させた作品!」ですね?
ですから、色彩のコードの意識的使用の効果は絶大なのです。
- 右隅の「マティス夫人の肖像」……これは確か、マティス夫人がこの作品を見て、相当不機嫌になって、夫婦仲にマイナスな影響を与えたのではなかったかな?と記憶していますが? どうだっただろう。
これについての詳細はこちらのページに載っています!
この頃マティスはキュビズムのことを気にしていたのか、女性像を「カミキリ虫」みたいに自由な曲線を強調して描いて、描かれた顧客のご婦人が怒って拒否したりしていました。
私も決して良いできではないと思います。
が……見るべきなのはこの青で、実に極上の氷結的というか、クールな美しさですね。
そして、これもDmコード。青と黄緑と朱色ですが、この緑は油彩のエメラルドグリーンでしょうね。
マティスの一大特徴である絵具の薄塗りで緑の濃さを落として、隣の朱色に黄色も含ませることで、黄緑色を感じさせます。色の隣接効果ですね!
マティスの造形実験による過渡期の作品ですが、これも、見事に色彩コードを使っています。
改めて繰り返しますが、『色彩の魔術師』と言われたマティスや、ルノワールから「君には天性の色彩センスがある!まるでスペイン人の絵だ!」と賞賛された梅原龍三郎のような、歴史的に最上のカラリスト=色彩画家ほど、色彩コードを見事に使用してきたのです。
逆に、色彩コードに気づいていない場合は、何枚描いても人を驚かせ、感動させる絵を描けないということになりかねないし、知っていれば、そこから外れたり、意識的に離れて別な色彩の使い方で人を感嘆させる絵も作れるのです。
例えば、エコール・ド・パリの常玉=サンユーのように。








