マチス展 ポスター20世紀にフランスでピカソと並ぶ巨匠ともてはやされたアンリ・マチス。

私が画家を目指し始めた大学時代に下宿の友人の一言があり最初に徹底的に研究したのがマチスです。

しかし、当時はマチスの魅力や強味が分からず、その後長くマチスには悪戦苦闘し苦しめられることになります。

苦戦した理由の一つに、マチスの原画をほとんど見た事がなかった事があります。

色彩のマチスと言われましたが、それが画集では全然分からない。

今までにマチスの原画は2枚しか観た事がなく、大回顧展は20年ぶりとのこと。

このチャンスを逃すと、私が生きている間は観られないかも知れないので、例え遣唐使船が難破しても鑑真のように是が非でも行くのです。

以前観た2枚は画集とはやがり偉い違いで、強く感動したことを憶えています。

ご都合がつくのならご覧になられることを強くお勧めします。

東京都美術館マチス展の見どころとは!

 
  

マチス 豪奢・静寂・逸楽の写真
 豪奢・静寂・逸楽
マチス展 東京都美術館で開催されているマチス展は、フランスの画家『アンリ・マティスの約20年ぶりの大規模な回顧展』です。

マティスは、強烈な色彩を用いたフォーヴィスム(野獣派)の中心的存在として活動し、後に絵画の革新者として知られるようになりました。

彼の作品は、感覚に直接訴えかける鮮やかな色彩と形の探求に捧げられており、現在でも色あせることなく魅力を持ち続けています。

マティスの作品は後世の芸術家たちにも大きな影響を与え、世界最大規模のマティス・コレクションを所蔵するパリのポンピドゥー・センターが本展の開催に全面的な協力をしています。

展覧会では約150点の作品が展示されます

絵画だけでなく、彫刻、素描、版画、切り紙絵、そしてマティスの晩年の最大の傑作と言われる南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂に関する資料なども含まれています。

展示では、各時代の代表的な作品を通じてマティスの造形的な冒険を紹介しており、豊かな光と色に満ちた作品群が鑑賞できます。

展覧会の見どころとしては、約20年ぶりの開催という貴重な機会であること、世界最大規模のマティスコレクションから選りすぐりの名品が紹介されること、そしてマティス初期の傑作である「豪奢、静寂、逸楽」が日本初公開されることなどがあります。

また、展示では絵画だけでなく、彫刻や切り紙絵など、マティスの幅広い領域にわたる業績を体験することができます。

この展覧会は、マティスの芸術を通じて色彩に満ちた芸術の世界に触れる貴重な機会です。

絵画、彫刻、ドローイング、切り紙絵から建築のプロジェクトまで、多様な作品を通じてマティスの芸術の魅力を堪能することができます。

マティスとボードレールの関係:美しさと静けさへの追求

マティス初期の傑作「豪奢、静寂、逸楽」は、フランスの詩人シャルル・ボードレールの詩「旅へのいざない」からの引用によって名付けられました

ボードレールの「旅へのいざない」は、以下のような詩の一節が含まれています。(参照ページ

「あの運河に並んで眠る根無し草の船たちをごらん。

 きみの望みを余さず叶えるためにあの船は世界の果てからやって来るのだ。

 沈む夕日が野を運河を街じゅうを赤むらさき色に染め上げて、暖かい光のなかで世界は眠りに落ちてゆく。

 そこはすべてが秩序と美、豪奢、静寂、そして逸楽。」

 この詩の中で、「豪奢、静寂、逸楽」という表現が用いられています。マティスはこの詩の雰囲気や美しい言葉に感銘を受け、自身の絵画に反映させました。

「豪奢、静寂、逸楽」の絵画は、マティスが政治問題や社会問題への抵抗や、激しい音楽や舞踏よりも、静かで落ち着いた雰囲気の芸術を追求していたことを表しています。彼は美しさや調和、内なる平穏を重視し、鑑賞者に穏やかで楽しい感情を与えることを目指しました。

また、マティスは晩年に南フランスのニースに住み、地中海の温暖で美しい風景をこよなく愛していました。

この絵画は、彼が海岸での海水浴の光景を描いたものです。海岸の景色や明るい光、人々の楽しげな様子が作品に表現されており、マティスがニースでの生活や自然の美しさから得たインスピレーションが作品に反映されています。

豪奢、静寂、逸楽の意味は、豪奢は物質的に豊かで、装飾やデザインにも優れた豪邸のイメージ、静寂はエリックサティの音楽のような、天気のいい午後のアンニュィな雰囲気、逸楽は美味しい料理、肉体的な快楽、恋愛の喜びなどを表していると思います。

ボードレールとマチスの関係:影響と評価

クールベ ボードレールの肖像
クールベ ボードレールの肖像
ボードレールは19世紀のフランスの詩人であり、彼の詩は当時の美術界に大きな影響を与えました。

彼は美の表現において革新的な思想を持ち、詩の中で情緒や内面の世界を描写する手法を用いました。

また、彼は「悪の芸術」(l'art pour l'art)という概念を提唱し、美術や文学の自由な表現を支持しました。

ボードレールの詩や思想に深い関心を抱いていたマティスは、彼の作品から多くの霊感を受けました。

マティスはボードレールの詩に触発され、感覚的で情緒的な表現を追求する芸術的な探求を行いました。

ボードレールは当時のフランスの美術界においても重要な存在であり、美術家たちに多大な影響を与えました。

彼の美学や詩の持つ独特な雰囲気は、多くの芸術家にインスピレーションを与え、新たな芸術の方向性を模索するきっかけとなりました。

マチス自身もボードレールを高く評価していました。

彼はボードレールの詩から得た霊感を通じて、色彩や形、感情といった要素を自由に組み合わせ、独自の表現を追求しました。マティスはボードレールの美学を継承し、新たな芸術の可能性を追求する道を切り拓いたと言えます。

ボードレールとマチスの関係は、芸術的な共鳴と尊敬に満ちたものであり、彼らの作品はお互いに影響しあいながら美の美の追求を進めました。

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