和のキャビネットのパステル今日は。北海道札幌市在住のパステル画家、ジークレー版画家の横田昌彦です。

前回は私が愛用しているマーメイド紙について解説しましたね。

今回は愛用しているパステルについてです。

油画やアクリル画を描いていた時は絵の具や筆など、非常に画材にこだわりましたが、現在はマーメイド紙を使うぐらいで画材にはあまり凝りません。

パステルを選ぶ基準は有名なメーカーで、かつ『専門家用』とうたっているものです。

なぜ、専門家用でないと使わないのか?それは耐光性の面で信頼できると考えるからです。

有名メーカーならどこも安心できるのではないかと。

詳しいことは分かりませんが。

昔、梅原龍三郎が贔屓筋の女優高峰秀子さんに

油絵具はルフランを使っているんだ。特に赤は美しくて日本に油絵具で代わるものがないのでね。」

と語ったのを聞いたある画家が

「やはり、絵具はルフランですかねえ。私もそう思います。

などと言ってきたので、口には出さなかったけれども

「お前の場合は絵具うんぬんの前の問題だろう・・・(苦笑)」

と心の中で呟いたそうです。

ちなみに日本の油絵具再大手のホルベインですが、このころ油絵具を梅原先生と共同開発していたそうです。

出来あがった絵具セットを無償で提供して、意見を聴いてはどんどん改良していったとホルベインの製造技術者の方から電話で聴きました。

フェンダーなどのエレキギターメーカーのエンドース契約(専属契約)にていますね。使用機材は無償提供という。

結局、絵具の耐光性や耐久性も、自分の作品が後世に残ってこそですからね。

専門家用のパステルであれば、むしろ大切なのは制作していてその色のパステルが残り少なくなったとき行きつけの画材店でいつでも購入できるかどうか?です。

入手するのに何日も待ってなんかいられません。

一番のお気に入りはWinsor & Newtonなのですが、これは現在、正式に販売代理店になっている会社が無いみたいで、ネットでセットものが小数出回っているだけです。

ですので、中心となるのは次に紹介する4社のものです。

ちなみにパステルには以下の種類があります。

  1. オイルパステル
  2. ソフトパステル
  3. ハードパステル
  4. セミハードパステル
  5. パステル鉛筆

私はオイルパステル以外は全部使用していますが、主にソフトパステルとパステル鉛筆を、色鉛筆とともに使用しています。

ラファエロ作品の修復に使用されているデーラー・ラウニー(DALER ROWNEY )

デーラー・ラウニー ソフトパステル

ラウニー ソフトパステルまず一番多く購入しているのがラウニー社のソフトパステルです。

色数が多く、しかも最高級と銘打っている『シュミンケ ソフトパステル』と比較して価格は半額の一本300円ほどなのがありがたいです。

Winsor & Newtonと同じぐらいの柔らかさで、硬さがちょうどよいです。

発色、色味ともに文句なしですね。お勧めです。

「その卓越した品質は、ロンドンのビクトリア・アルバート美術館においてラファエロの作品の修復に用いられたことでも実証済み」と販売代理店のクサカベ(日本の油絵具製造販売の大手メーカー)さんがいってます。

レンブラント ソフトパステル

レンブラント ソフト パステル油絵具も販売しているターレンス社のソフトパステル。

画材屋さんの札幌 大丸藤井セントラルさんに行くと「厳選された最高級顔料を使用。その品質は世界で絶賛されています」と書かれています。

ラウニーより硬いですが、だからと言って重ね塗りなどに支障はありません。

『ファーバーカステル ハードパステル』と並んで色んな画材屋さんで一番置いてあるパステルではないでしょうか?

ラウニーよりエッジを立てたより細い線を描線するのに向いていると思います。

パステルが切れてしまって、欲しい色がレンブラントしかなくてもそれで問題なしです。

ホルベイン ソフトパステル

ホルベイン ソフト パステル
日本の画材再大手、ホルベインのソフトパステルです。

ここのパステルはハーフサイズで小さいですが、とにかく色が豊富なのが助かります。
ハーフサイズなので、値段もラウニーなどに比べ半額。

小さい割に広い面積を塗れるのが良いですね。メーカーの説明を読むとやはり粒子が細かいそうです。
さらに人体に有害な顔料を使っていないのもうれしいですね。

品質、使い勝手とも何の問題もなし。

ヴァンゴッホ パステル鉛筆

ヴァンゴッホ パステル鉛筆より狭い範囲や細い線を引く場合はスティック状のパステルよりパステル鉛筆が向きます。

この製品もオランダ ターレンス社の製造です。

一つ注意しなくてはいけないのは芯がパステルなので、芯にダメージを与えぬようナイフで慎重に鉛筆削りしなくてはいけません。

また、床に落としたりすると中の芯が折れて削っても芯が折れていて使い物にならなくなるので扱いは丁寧、慎重にしなくてはいけません。

ゴッホ以外にもコンテ・ア・パリ(Conte a Paris)やスタビロ カーブオテロ(stabilo)のものも多数使用しています。

その他の有名な製品

シュミンケ ソフトパステル

シュミンケ ソフト パステル 最高級、樹脂系油絵具MUSSINI(ムッシーニ)を販売しているドイツのシュミンケ社のソフトパステルです。

最高級とうたっているだけあって値段が非常に高いです。

1本700円ぐらいします。

私はどうしてもほしい色合いのものだけ数本を購入しています。

顔料濃度が非常に高いのでしょう、板などに軽く落としたりするだけで粉々に砕けてしまいます。
ですから、紙への定着性にも不安が残ります。

大丈夫だとは思いますが。

樹脂系油絵具ムッシーニは日本の写実派の画家の人がテンペラと併用して交互に重ね塗りする描き方などで重宝しているようです。

樹脂系というのは顔料を油だけでなくコーパルなどの天然樹脂も混ぜたもののようです。

これがテンペラの卵黄などとしっかり結びつき、重ね塗りが出来るようにしているようです。

私もサンプルを取り寄せて、色々試してみましたが、確かに顔料濃度が高くかつ、粒子が小さく細かい。

さらに入念に練られているようで、樹脂混入以外は同じく最高級をうたうマツダスーパー油絵具とほぼ同じですね。
 
 マツダスーパーはWinsor & Newtonと比べても遜色がない、素晴らしい絵具だと思います。

 でも、それは長く作品が歴史に残る作家に使われてこそ真価が生きるというものですよね。

ファーバー・カステル ハードパステル

梅原龍三郎 裸婦 パステル 紙
 梅原龍三郎が高峰秀子に「非常に使い勝手が良くて重宝しているんだ!」といって少女像などを描いていたパステルです。(写真は梅原龍三郎 裸婦)

 プロの愛用者も多いようですが、私はハードパステルは苦手ですねえ。
 

 

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