11月14日に完成した新作のご紹介です。
題名は『オアンネスが苛立って放り投げたミュージックブック』
イラストレータとフォトショップで作りました。
この作品にも私が音楽の研究から開発した、絵画に音楽のようなメロディー、リズム、時間的な躍動感を与える技術を使用しています。
作品の解説は以下に載せていますが、まずは思うがままに鑑賞して自由に想像を巡らせていただければと思います。
オアンネスとは人間と魚のあいの子のような神で、人類に文化・文明を最初に教えた者と世界の各地で伝えられている神です。
フランスの作家フローベールの小説『聖アントワヌの誘惑』に登場し、それをオディロン・ルドンが何枚もの絵画に描いています。
作品の内容の説明
この作品の内容は私が大学時代に見た夢です。 その頃私は「芸術や美術とは何か?」について勉強中で悩んでいました。
ある日、夢にこの女性が現れました。この女性はある雑誌に写真が練っていたあるキー局のアナウンサーです。
夢の中で私は間借りしていたいつもの部屋にいました。
私は彼女と似た存在をどこかで見たことがあると思いました。即座にルドンのオアンネスの像を思い出しました。
彼女は少し怒ったように画集を「ほらっ!」とこちらに放り投げてきました。
その画集はカンディンスキーのもので、開いたページはカンディンスキーの客船が何艘もクルーズしている抽象画でした。
すぐに山下達郎の『ミュージックブック』(you tube)という曲が流れて来ました。
眺めているうちに、その絵は色盲検査のピンクやオレンジの〇で書かれた画像に一瞬で変わりました。
私は何が描かれているのか判別出来る自信があったので、判別しようと見ていると、その円はたちどころに桜の花びらになり、見る見るうちにページから吹き上げるように溢れてゆき、花吹雪となって透明な海の底となった部屋中に満ちていきました。
次の瞬間、私はある小さな神社にいました。
花吹雪が疾風に舞い、まるで有名な桜の名所、松前城の桜の散り際のようです。
神社の境内では少女の演歌歌手が唄い始めたようです。見る見るうちに彼女は花吹雪に包まれて行きました。
彼女は演歌の『チャンチャカチャン』といった調子のよい伴奏の中で気持ち良さそうに、藤圭子の少女時代を連想させる美しい声で唄っています。
花吹雪を見ていると、それは何かの時代を画する出来事の後のような、宴の後のような感慨が心にしみじみと湧いてきました。
そして、花吹雪は風にあおられ路上に紙吹雪の波となって見事に舞っていました。