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ビジネスとしての現代アート・現代美術。奈良美智らのアーティストにみるセルフプロモーションと緻密なマーケティング戦略。

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 もう20年も前になりますが、日本の現代美術では有名なギャラリストに作品の写真を観てもらった時に

 「このシリーズの作品は他に何枚あるのですか?」

 と聞かれ

「これ1枚です」

 と答えたら

「横田さん。少なくとも20枚、できれば30枚はないと我々は商売にならないんですよ。」

 「ピカソのキュビズム作品が典型的だけれども、短時間で大量に制作できる性格の作品があることがビジネスとしては非常に旨味があるわけです」

 「例えば、あなたが評価する千住博の滝の絵も、千住君は確信犯で量産性の旨味を分かっていて発表したのだと思います。」

 「あの絵も、恐らくああいった絵をすでに誰かが描いていてそれをパクったのだと思います。」

というのです。

ギャラリストのパクリの意見はあくまでこの方のもので、千住さんは著書で「滝の絵はヴェネツィア・ビエンナーレの出品作に悩んでハワイに行って滝を見ていたときに閃いた」と言っています。

 私もそうだろうと思います。
 
千住博 瀧図 当時は千住博氏がヴェネツィア・ビエンナーレで国際賞を受賞し、その作品を札幌の三越で観て、

 「まるで衝撃的なデビューをしてレースを席巻した『スカイライン R32 GT-R』のようだ。
  衝撃的で、天井を突き抜けたように感動と爽快感がある。
  凄い作家が現れたな。」

と感じました。

 当時の私にはライバルと思える画家がいませんでした。

 それが理由で、日々の制作活動で今一つ強烈な対抗心、負けん気を発揮できないでいました。

「この男なら私のライバルになれる」

そう思いました。

 その後、10年も経たずに、ヴェネツィア・ビエンナーレで受賞できなかった、千住博が「日本アニメのまがい物」と称した村上隆
が一気に追い抜いていきました。

 村上隆はヴェネツィアで美術手帖に記者に「受賞できなくて、残念でしたね」と聞かれ

「もういいよ。来てみて分かった。日本に帰ってGEISAIを一生懸命やることが使命だと思った。」

「どうして、この場を世界アートビジネスの一丁目一番地と思えないのかなあ。」

と言っていました。

奈良美智の少女像は藤田嗣治の子供の絵のパクリか?

奈良美智と藤田嗣治の少女像比較  量産の効くシリーズものの絵画戦略といえば、最近では奈良美智ですよね。

 なぜ、奈良が少女像ばかり描くのか?

 ある時、奈良美智の若い事を知る有名なギャラリストにこんな話を聞きました。

 横田「奈良美智ってすごく緻密で戦略的なマーケッターですよね。」

と聞いたら、

 画商「そう奈良君のあの少女像は藤田嗣治の子供の絵のパクリなのです。」
  
 横田「藤田って晩年近所の子を凄く可愛がっててロリコンと言われてますよね。」

 画商「そうロリコンなの。それでね藤田の絵で一番売れるのはあの子供の絵なのです。」

 横田「なるほど。ドイツに留学して、最初にフランス画壇で認められた画家であるフジタの絵がなぜ受け入れられたのかをじっくり研究していたんだ。」

 画商「だってドイツのデュッセルドルフ芸術アカデミーに留学していた奈良君を私尋ねたんですよ。

    そうしたら、その時学校のアトリエでは抽象画を描いてたんですよ。」
 
 また、ある時、ある人が奈良美智に

 「奈良さんとイラストレーターはどう違うの?」

 と聴いたら

 「うん、もう全然違う。イラストレーターは顧客の依頼で描くでしょ。僕は好きなもの、描きたいものしかかかない。」

 と言ったそうです。

 「うん。まさにそうだよねえ。芸術家たるものそうだよね。」・・・・と感心する訳ないでしょう。(笑)

 聴いた人は「そうだよねえ」と感心していましたが。

 描きたいものがあの少女像だけなどという画家などいませんよ。

 国画会会員佐々木豊さんが『画風泥棒』という本で、東京画廊が取り扱った最初の日本人抽象画家であり『もの派』の師匠だった、斎藤義重のベニア板にドリルで傷を付ける作風は簡単かつ高値で売れていいなあと、この画風に変えようとやってみたら、しばらくして下痢が止まらなくなり、慌てて止めたと語っています。

斎藤義重 作品7

斎藤義重 作品7

    
 そりゃそうでしょう。

 佐々木さんも言うように、描きたいものを描きたいという欲望が溜まって欲求不満になるからです。

 佐々木さんは著書で「カンバスに筆で点一つ。はい出来上がり。の李禹煥は楽でいいよなあ。」ともいっていますが、まさしくです。

 以前、札幌芸術の森美術館で開催された李禹煥展のオープニングにいったらご本人がいらして

 「キャンバズにまたがって筆で一気に点を描くけど、今までの人生が、してきた修練が全てそこにでるのですよ。」
 
 と語って下さいましたが、そうかなあ~~~?そうでしょうけど、少なくともこれは量産型絵画のひとつの極致です。

 実はこの作品の点、実物を観ると岩絵の具のようにキラキラと一部がダイヤモンドのような光を放っています。

 それで東京画廊の社員の人に岩絵の具ですか?と聴いたら油彩なんだそうです。

セルフプロモーションこそ売れる画家になるための核心です

 NHKのフロントランナーという番組で奈良さんはこう語りましたが

 司会「もし、今、若い時のように売れなくなったらどうしますか?」

 奈良「うん、もう全然かまわない。だって若くて売れなかった時は本当に楽しかったから。

    そこにもどるだけだから、全然かまわない。」

 そんなな訳無いでしょう。(笑)

 誰か、この発言信じる人います?

 いますよねえ~~。(笑)

李禹煥 「Correspondence」

李禹煥  
 Correspondence 

 「さすが芸術家、カッコイイ~~~」

 と思われようとしている訳です。

 こういうのをセルフブランディングまたはセルフプロモーションといいます。

 典型的なのは矢沢永吉です。

 矢沢は「ロックスター矢沢永吉は本人ではない。私は売れるために矢沢を演じているのです。」と言ってます。

 あるインタビューで

 「さて、俺はいいけど、矢沢がどういうか?」

 と言っています。

 しかし、これって芸能人ならみんな普通に当たり前にやっていることですよね。

 そして、このセルフプロモーションこそ売れる画家になる核心であると、『世界旅画家』のZINさんがいってます。

 ただ、アートフェアで「奈良美智の展示作品を全部欲しい」と小山登美夫さんに交渉している外国人のお客さんを覗き見して

 「馬っ鹿みたい・・(笑)」

 と侮蔑する奈良君を、私はけっして格好いいとは思わないし、手放しで賛同もできません。

 どうしても心に引っ掛かるものが残ってしまいます。

 
  

 

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