雑誌のコレクターズや美術手帖の『有望新人100人』
といった特集で取り上げられたアーティストの8割が
10年で筆を折る事が、こういった特集で書かれている
ことを以前お話しましたね。
これは欧米でも同じだそうです。
これらの新人の9割以上が芸大・美大卒です。
以前も紹介した東京芸大卒の画家、佐々木豊さんの『泥棒美術館』に、
卒業式の日に担当教授の伊藤廉さんに呼び出され
「君には才能があるから10年、真面目に頑張りなさい。
10年筆を折らなければその後も食っていける。」
と言われた。と書いてありますが、恐らく今でも
東京芸大美術学部の卒業生が10年後に制作を続けている割合は
1割ぐらいだと思います。
東京芸大油画科の学生生活を描くブルーピリオドの作者、
山口つばささんが、インタビューで
「55人いた同級生で作家として食えているのはたぶん自分だけです。」
といっています。
それぐらい制作し続けることは経済的に厳しいのです。
特にネットやクループで作った画廊である
オルタナティブ・スペースも無かった20年以上前では。
◆私は幸運にも35歳で『横田進学教室』という小中学生対象の
個別指導学習塾を開設できたので、それからは水、土、日曜日は休日
その他の日は午後2時から午後9時まで授業。という生活を送れました。
十分に絵を制作する時間と、必要な画材や本を金額を
気にせず購入できる収入を確保できました。
学習塾は2000年位に、本来の専門である
プログラミング教育をする
へ業態転換し、途中リーマンショックなどで
3年ほど営業停止しましたが、その後再建に成功し、
現在も同じ様に十分な制作時間と収入を確保しています。
これは、かなり恵まれ境遇だと思います。
一般的に起業は10年後に残っている確率が
5%から10%と言われています。
25年も継続営業できる確率は1%に満ちません。
そのように継続できたのは、若き日にTVやラジオでも
活躍していた易者の斎藤聖峰さんに占ってもらって言われたように、
私には『商才=ビジネスの才能』と運があったからだと思います。
この話の詳細は私のホームページのこちらの記事をご覧下さい!
ピーター・ドラッガーは事業で成果を挙げるのは『強み』を
もってであると言っています。そして、ほとんどの人が
自分の強みをしらない。むしろ弱みを強みと勘違いしている
といっています。
ドラッガーは自分の強みを知る最良の方法は、
ある成果目標を立てて実行してみることだといいます。
それで期待通りの成果を挙げられるものが強みだといいます。
私にとってはそれが『商売』、事業なのです。
なぜ、上手くいくのかと考えてみると、先天的な『戦略力』
があるからだと思います。
もちろん、不調になれば命を削るような努力をしますよ。
戦略力にていては、参考書としてこの本があります。
『さあ、才能に目覚めよう: あなたの5つの強みを見出し、活かす』
という本です。
以前、この本の付録である自分の強みを判断するWEBアンケート
をやってみたところ、自分の最も優れた強みのうちの一つが『戦略力』でした。
その他の4個は『社交性・学習意欲・最上志向・交渉力』だったと思います。
この本の戦略力の定義は「一見複雑で不可能と思える事象の中に、
成功する道筋を見つけだして実行し成功を収める力でこれは
生来のもので学習して身に付けられるものではない」そうです。
何か、思い出しますよね。
そう織田信長が今川義元の3万の大軍を相手に勝利して
義元の首を取った、桶狭間の闘いです。
企業の経営者や政治家に必要なのは戦国大名のような
戦略力=ストラテジーなのですね。
これはアーティストも同じです。
村上隆や奈良美智が成功した最大の理由の一つは、彼らが
事業家、マーケッターとして非常に優れていたからです。
奈良美智さんは、好きで同じ少女像ばかり描いていますが、
実は日本でトップクラスの画廊主から以前聞いた話ですが、
その方は奈良さんがデュセルドルフ美術学校に在学中に尋ねていって
制作風景を見せてもらったそうですが、その時、奈良さんは
抽象画を描いていたそうです。
それが少女像を描くようになったのは、
「藤田嗣治の作品で最も売れるのがあの藤田の
ロリコン趣味から来る子供を描いた絵だからだろう。」
と言っていました。
奈良さんは以前NHKの番組で
「もし絵が売れなくなったらどうしますか?」と聴かれ
「もう全然平気。売れない時の方が断然楽しかったから」
と答えましたが、この答をどう思いますか?
本気で言っている訳ないですよね。
これがセルフ・ブランディングなのです。
奈良美智は緻密にマーケティング戦略を練って、
正確に実行していく起業家ですね。
村上隆さんも勝るとも劣らない起業家です。
今でも髪を伸ばし、髭を蓄え、日米戦争で負けた武士を
イメージさせる戦略と取っていると思います。
村上さんはこういった戦術を藤田嗣治の
マッシュルームカットと〇眼鏡を参考にして
実行しているといってます。
村上隆によるとマッシュルームカットは男根を表し、
ピカソのように精力絶倫に見えるようにしていて、
可笑しな恰好をしたピエロのような日本人を演ずることで、
白人の優越感を刺激しないようにしたことを
参考にしたのだと言っています。
◆話を私の近況に戻しますが、私は今でも毎日、
札幌WEBプログラミングスクールの経営と、絵画制作、
という2つの事業のマーケティングを両立させて精力的に働いています。
◆2つの事業の経営の仕方は実はまったく同じです。
ですから絵を販売するのも、札幌WEBプログラミングスクール
のマーケティング戦術を当てはめています。
このメールマガジンでは、この絵画の販売方法や
アーティストとしていかの収入を得る方法についてもいずれ話していきたいと思っています。
次号に続きます。