絵画の音楽状態を実現

 カンディンスキーとクレーが創始した抽象画の目的は何か?それは絵画の音楽状態を実現する事です。

アメリカの抽象表現主義は、カンディンスキーのバウハウス時代の同僚で、構成主義のような幾何学的な作品を描くアルバースをブラック・マウンテン・カレッジに招聘してバウハウスの成果を吸収していった事もあり、抽象表現の目的を単純に『平面化』であると誤って認識してしまいました。 構成主義的なバウハウスの傍流抽象表現からスタートしたといって良いでしょう。

『音楽的才能に恵まれたわれらのマラルメ』とナビ派の画家達に敬愛されたオディロン・ルドンは「暗示的芸術」という概念を提唱しました。

暗示的芸術とは音楽のように鑑賞者にあるイメージ・情景や物語を空想させる技術といってよいでしょう。ルドンは【モナ・リザ】を暗示的芸術の金字塔と考えました。【モナ・リザ】が鑑賞者に様々な疑問や想像を喚起するからです。

私は、長年絵画の音楽状態を研究し、『光のスペクトル・線・形・遠近・明暗』『音色・音程・和音・メロディ・リズム』との相関関係と法則を発見しました。 そしてついに、ポピュラーミュージックなどの音楽の内容を絵画に翻訳する事に成功 したのです。(写真はパウル・クレー作 『赤のフーガ』)