ストーリーテリングの手法。苦労話で読者を引き付けろ!

自分や自分の作品をビジネスとして売り出していく方法をセルフ・ブランディングといいます。
意図的に自分をブランド化していく戦略ですね。

典型的な例に矢沢永吉やユーミンこと松任谷由美さんがいます。

矢沢永吉は「俺はいいけど矢沢が何というかな?」と語ります。

松任谷さんは「ユーミンは私とともに仕事をするチーム全員の総称であり、ブランド名です」といいます。

つまり素の自分と、仮面のようなブランドとしてある職業人としての私は違うということですね。

このセルフ・ブランディングではストーリーテリングという手法がここ数年、世界的に流行しました。

これはつまり映画のダイハードやターミネーターのように、事件を解決する使命を負った主人公が何度もの絶体絶命の危機に陥るが、最後には挽回して勝利を収めるというストーリーを語れというものです。
自分を語るには、「自分も過去に多くの苦境に陥ったけど今は挽回し大成功したよ。」という風に語ると効果的であるというものです。

「逆境から這い上がって来たなら、私もこの境遇から抜け出し成功する方法を教えてもらえるに違いない」と読者はファンになってくれるよ。という訳です。

嘘か本当化は分かりませんが、安倍晋三が若者に指示された理由のひとつに第一次政権で挫折し再登板で成功したから。という事実があるという人がいます。

https://hk-plaza.co.jp/homepage/wp-content/uploads/2017/08/e3dbd04e7cc08f9d23fb61a5f568a066.pdf
以前、『20世紀 ライフ・シフトの時代』という経営セミナーで孫正義さんの弟で実業家の孫泰蔵さんとソフトバンク重役の宮澤弦さんのお二人が、

「大学に講演に行くと必ず聞かれる質問があります。どうやったら失敗しないですみますか?という質問です。
それで私は「失敗なら居酒屋で二晩ぶっ通しで話せるよけど。じゃあこれからちょっと居酒屋行こうか?(笑)」って答えるんです。
実際に親が失業したりして苦しんでいるのを見たりしてるんでしょうねえ。」

大学生この失敗したくないという気持ちはよく分かるんです。

なぜなら、私もお二人と同じようにもの凄い失敗をして、夜も眠れない、精神科で安定剤をもらわないと生活できない状況に陥ったことがあるからです。

それは事業経営の行き詰まりだけでなく、進学した大学自体が商科大学で国立医大をひたすら目指していた私にとっては不本意極まりない結果で、その時の精神的な苦悩は説明しても分かってもらえないと思うぐらいのものです。

それは大学を卒業して高校教員になるときに父が「人の10数倍苦労したんだから、これからは楽な生活を送りなさい。」と言ったほどです。

その教員生活も早期に退職して札幌に出てきて、教員時代の同僚と居酒屋で飲んだ時
に教員時代のエピソードを笑って女将さんに話したところ、同僚が
 「女将さん、人間はね、つらい記憶を忘れることができるという能力があるから生きていけるんだよね。
 教員時代の彼は涙なしでは語れないんだよ。
 僕は笑えないよ・・・。」
 と言ったぐらいですから。

事業経営で苦境に陥った時もつくづく医師や公務員のような安定が欲しいと願いました。

しかし、私はそういった苦労話を人に語ることが大嫌いです。

また、自分の顔写真や個人情報を出すこともビジネス上必要だからしているだけで、とにかくプライバシーの一切を明かすのが大嫌いです。

それを、平気でセルフ・ブランディングで語る人には、どうしても強い抵抗と違和感を感じぜざるを得ません。

もっともすでにここまで語る中で、私も同様に苦労を語ってしまっていますね。(苦笑)

 続きは第4号でお話します。