2021年の東京オリンピックの開会式が23日に開催されましたが、長島茂雄・王貞治・松井秀喜の3人による聖火リレーが行われ非常に好意的な意見が多いように思います。
「長島さんはこの日を目標にリハビリをしてきたことに勇気づけられた」
「やはり長島茂雄は偉大な人。国民栄誉賞のレジェンド登場は当たり前だよね」
といった意見がTwitterなどで寄せられています。
私はこの意見に「日本人の島国根性は未だに根強いんだな」ということと、国際性に対して認識が低い事にガッカリしています。
これが国体なら何も問題はないのですが、オリンピックは世界に発信するものです。
この場面を見た外国人は「何でこの、恐らくは脳に障害があるであろう老人が若い男に支えられ聖火リレーに出てきたのか?」としか思わなかったでしょう。
ドメスティックな表現が過ぎれば外国人には受け入れられない。
数年前に東京画廊の山本豊津代表にホームページに載せる私への推薦文を書いていただいた時に、その中で
「一部の作品(ページ掲載作品)の表現がドメスティックな領域を抜け切れていない。」
と書かれていました。
数日後、電話が掛かって来て、この文についての丁寧な説明をいただきました。
豊津さん曰く
山本「例えば寿司ならば、日本人はそのまま食べてもらえれば、外国人に文句なく旨いと思ってもらえると多くの日本人は確信してますよね。
でもね、寿司にマヨネーズを乗せて、それで寿司を旨いと感じてもらってやっと寿司が受け入れられたのです。」
横田「アボカドロールとかカリフォルニアロールとかですよね」
山本「そう。それで、その外国人の人がニュヨークとかの寿司店で「旨いうまい」と寿司を食べていると、あるとき日本人客にこう言われる訳です。
「これは本当の寿司ではないですよ!」
それで、本当に寿司とはどういうものなのか?と素直に興味を持った外国人が日本にやってきて、有名店で寿司を食べてみてさらに寿司にはまっていくわけです。」
横田「以前、知り合った中国人が
「日本の中華料理は中華料理ではない。」
といったのと同じですね」
山本「そうなの。国際アートフェアに行くとね、「これが日本画です。素晴らしいでしょ!」と言っても受け入れてもらえないんです。
だから、
「外国人に受け入れられるような普遍性をもった装飾・アレンジにしないと横田君、このままでは売れませんよ」
と言いたかったのです。
特にあなたは海外で作品をどんどん売りたいと思っているのですよね。」
私「なるほど村上隆や奈良美智の戦略が私にも必要ということですね。
彼らは意図的に最初からそのことに気付いてあの表現スタイルを釣り上げていったということですね。」
奈良美智よりも村上隆の作品は「日本の優れたアニメと比べるとこれってアニメのパロディではないか?」と日本人に思われることが多いですよね。
山本代表の以上のお話を踏まえると、村上が確信犯で意図的に画風をアレンジしていたことに気付きますよね。
村上隆が
「そういうなら、お前らもアメリカに来てやってみろ。俺のように勝負してみろ。」
というのはこのような事情からだと思います。
長島茂雄さんも王貞治さんも、そして松井秀喜さんが偉大なアスリートであることにもちろん私も異論はありません。
だけど、3人が登場した時に彼らのヒストリーが分かる映像を流すなど、外国人に意図が伝わる工夫が必要であったと考えます。
開会式のエグゼクティブプロデューサーが日置貴之という方で、自ら
「私はほとんど海外にすんでいて国際感覚に優れている」
と発言していますが、この演出には首を傾げざるを得ませんね。